症例集

2016.04.14更新

今回はあまりにも巨大だった腫瘍です。
夜間に電話で[お腹のできものから出血してる]との相談を受けまして、夜間で来院が難しいようでしたので応急処置としてとにかく舐めさせないように首にエリザベスカラーを付けてもらったり、できものにテーピングでもしてもらうようにして、後日来院してもらうようにしました。
 後日来院されて、できものの大きさにびっくりしました。
犬 乳腺腫瘍 乳癌
内股からお腹中央部に達する巨大な腫瘍でした。腫瘍が大きくなりすぎて破裂して出血していたようです。
 こういった大きくなりすぎた腫瘍はやがて破裂して出血し貧血を引き起こし、ワンちゃんが舐めてしまう事で感染・炎症を起こし、ワンちゃんの生活の質は著しく低下します。
この症例は、これだけ巨大だと手術時間も長くなりますし、すでに出血による貧血があり全身状態はあまり良くありませんでしたが、腫瘍を放置する事で生活の質はさらに低下し衰弱死することは明白だったので摘出手術をする事になりました。
 
犬 乳腺腫瘍 乳癌
巨大な腫瘍だけでなく胸にまで小さな腫瘍が多々ありましたので、片側の胸から内股にかけての手術となりました。手術後2~3日は体調はいまいちな様子でしたが、しだいに復活してきて元気に退院していきました、大きな腫瘍が無くなって体も軽くなったようです。

ワンちゃんの乳腺腫瘍(乳腺部のしこり)はある程度データが出ておりまして、昔からワンちゃんの乳腺に腫瘍ができたら50%は良性腫瘍で、50%は悪性腫瘍と言われています。

そして悪性の癌であった場合は犬の乳腺癌のステージ分類をします。

しこりの大きさが3cm以下はステージ①。3〜5cmでステージ②。5cm以上でステージ③。大きさに関わらずすでに肺などに転移がある場合はステージ④となります。

当然、すでに転移のあるステージ④は手術適応にはなりません。ステージ③以下であれば手術をお勧めいたします。しかし、特に5cm以上になると手術前は転移所見が無くても、手術後に転移が発覚することもあります。しかしながら何もしないでいると、今回のように腫瘍が破裂して生活の質が著しく低下します。

 大切なペット達の体に出来てしまったしこりをどの段階でどのように処置すべきか?今以上に大きくなったら手術するか?それとも小さいうちに手術するか?? とても悩ましい問題だと思います。今回のワンちゃんも様子を見ていたら次第に大きくなっていってしまったようです。
 ペット達の年齢や全身状態、腫瘍が発生した位置などによって様々に対応する形になりますが、本院では腫瘍は小さいうちに対処する事をお勧めしております。理由としてしこりが悪性腫瘍であった場合は大きくなるのを様子見ているうちに転移などして手遅れになるケースもありますし、大きくなると当然手術時間や手術による痛み、回復までの時間もかかる事になります。しかし小さいうちであれば全身麻酔ではなく鎮静剤に局所麻酔の併用で手術可能な事もあります、悪性腫瘍であっても早期摘出により完治も可能です。ペットの体を切るのはとても悩ましいですが、医療側からすればやはりいい事ずくめな早期検査早期摘出をお勧めいたします。

小型犬 乳腺腫瘍 乳腺片側全摘出手術 入院から退院まで(3日〜7日、腫瘍の大きさ動物の全身状態による)費用総額 10万前後

投稿者: アプリコット動物病院

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