症例集

2017.04.08更新

フィラリア症とは犬、稀に猫の心臓や肺動脈に寄生する寄生虫のことです。蚊の吸血により犬から犬へと感染が広がっていく寄生虫です。近年ではジカ熱やデング熱が蚊が媒介する感染症ということで話題になりましたが、フィラリア症は海外の蚊ではなく日本にいる蚊が媒介します。ウイルスではなく寄生虫であり、大きい成体では20cmを超えることもあります。犬や猫に心臓病や時に突然死を起こすとも言われている怖い病気です。

全ての蚊がフィラリアを持っているわけではなく、運悪くフィラリアを持っている蚊に刺されると吸血の際にフィラリア幼虫が犬や猫の血管内に侵入し感染します。

犬や猫の体内に侵入したフィラリア幼虫は脱皮をしながら犬や猫の皮膚の下を数十日かけてゆっくり移動します。数十日かけて成長したフィラリアは大きな血管に侵入し、やがて心臓や肺動脈に到達し成虫となり、そこで交尾をしてフィラリア幼虫を産み出します。

産み出されたフィラリア幼虫は心臓や肺動脈から出て全身の血管内を循環するようになり、蚊に吸血される際に吸い上げられ蚊の体内に移動して、また別の犬を吸血する際に犬の体内に侵入する、、、というのがフィラリアの感染サイクルになります。

感染してもすぐに心臓病や突然死を起こすわけではありません。感染してから数十日は皮膚の下を移動するので症状を示すようになるのは心臓や肺動脈に寄生してからです。

心臓に寄生しても一般的にはしばらくは無症状で、じわじわと数年かけて血液循環/心臓機能を障害し、やがて咳や疲れやすくなる、循環障害からお腹に水が溜まるなどの症状を示すようになります。多くの犬のフィラリア症はこのタイプの慢性フィラリア症です。

しかしながら中には急性フィラリア症もあります。原因はわかっていませんが本来肺動脈に寄生しているフィラリアが心臓内に落ち込むことで急速に循環状態/心臓機能を悪化させ、急な貧血、立てない、赤い尿などを示し、数日で亡くなってしまうこともあります。

猫ちゃんの場合は、一般的にフィラリア幼虫が体内に侵入しても猫ちゃんの免疫により幼虫は死滅すると言われています。しかし極めて稀ですが、免疫の弱い猫ちゃんは心臓や肺動脈にフィラリアが寄生してしまい、咳、食欲不振、などの症状を示し、稀に突然死もあるようです。

一度感染されると駆虫は大変で、外科手術で肺動脈からフィラリアを摘出するか長期にわたる内服や注射で駆虫するという方法になります。

ですのでフィラリア症は予防が大事なんです。予防は蚊が出始めて一ヶ月後の5月から蚊がいなくなって一ヶ月後の12月までの間、月に一回お薬を飲ませるだけで予防できます。

予防薬にも色々な種類があり、フィラリアだけにターゲットを絞った安価な錠剤や、お腹の寄生虫も同時駆虫できるジャーキータイプものや、ノミやマダニも同時駆虫できる便利なオールインワンタイプもあります。どうしても飲ませるのが困難な場合は背中に垂らすタイプや注射で予防することもできます。

予防薬は一ヶ月効いて感染を防ぐわけではありません、感染したフィラリア幼虫が皮膚の下を移動している数十日の間に飲んだ薬が幼虫を死滅させるというメカニズムです。ですので蚊が出始めてから1ヶ月後から蚊がいなくなって1ヶ月後が予防期間なのです。

首都圏近郊では予防が普及してあまり見ない病気となりましたが、本院でも毎年1頭位は感染確認されます。内服が苦手な子はお肉タイプのお薬や背中に垂らすタイプや注射もあります。しっかり予防するようにしましょう。

 

投稿者: アプリコット動物病院

2017.03.25更新

今年も狂犬病予防注射のシーズンがやってきました。

狂犬病は日本での発生はもう40年以上ありません、日本は世界でも数少ない狂犬病清浄国です。しかし主に東南アジアでは日常的な病気で、お隣の韓国では数年前にも発生があり、中国では毎年1000人以上の方が、インドでは毎年1万人以上の方が狂犬病で亡くなってしまうそうです。

狂犬病はワンちゃんだけではなく、ほぼ全ての哺乳類に感染します(犬 猫 人間 牛 馬など)。感染ルートは、狂犬病を持っている動物に噛まれることで感染します(唾液中に大量のウイルスが含まれるので、唾液が目や口に入ルコとで感染する可能性もあるそうです)。ですので海外でも野良犬などの野生動物に近づかなければ、まず感染することはありません。

しかしながら、狂犬病が何より恐ろしいのはその致死率です。狂犬病は感染して発症するとほぼ100%死亡します。死亡率100%の感染症は狂犬病だけです。過去に世界を震撼させたエボラ出血熱でも致死率は80%です。感染ルートは限定されていますが致死率100%は恐ろしいですね。

日本は島国という利点で、この致死率100%の狂犬病を抑えていますが、例えば海外からの密輸動物、貨物に混入したコウモリや猫、渡航者のペットの不法上陸などで狂犬病の日本侵入の可能性もゼロではありません。

日本はこの恐ろしい狂犬病の流行を抑えるために 狂犬病予防法 という法律あり、生後91日以上のワンちゃんは狂犬病予防注射を打つ義務があります。猫やタヌキ、ハクビシンなんかも感染しますが、日本では人間に一番身近な動物である犬に注射を義務付けています。

狂犬病予防注射は年に1回の注射です。残念ながら副作用が全く無いわけではありません、極めて稀に狂犬病予防注射でアレルギーが出て、注射後に嘔吐や下痢などが認められた例もあります。しかし他の一般的予防注射(混合ワクチン)に比べれば発生率ははるかに少ないです。

よく飼い主様に、うちの子もう年だから狂犬病打たなくてもいい?という質問を受けます。一般的に狂犬病予防注射を免除できる動物は、抗がん剤や免疫抑制剤を使用中で免疫バランスが不安定な子、病気や加齢で寝たきりで散歩にも行か無いので他の子を咬む心配の無い子、以前に狂犬病注射でアレルギーを起こしたことのある子、です。高齢であっても元気にお散歩に行っている子は打つ義務がありますので必ず打つようにしましょう。

狂犬病予防注射が打てない、打つ必要がないと獣医師が判断した場合には 狂犬病予防注射猶予証 を発行いたします。この猶予証があれば打たなくても問題ありません。

狂犬病予防注射は注射したら終わりではなく、市役所への申請が必要になります。本院は船橋市/習志野市にお住いの方に限り、市役所への申請を無料代行しています。

また本院はペットホテルやシャンプーカット(トリミング)と同時に注射もしています。ペットホテルではタイミングを見て体調の良さそうな時に、シャンプートリミング時は終了後にワンちゃんが落ち着いてから注射しています。お気軽にお申し付けください。

 

狂犬病予防注射:2900円   市役所からの注射済票発行代:550円   船橋市/習志野市市役所への手続き代行手数料:0円

 

 

投稿者: アプリコット動物病院

2017.02.15更新

今回は前回に引き続きウサギさんのお話です。前回、ウサギさんの体調不良や食欲不振は80%が胃腸の問題であり10%が歯の問題、10%がその他臓器である、とお話ししました。前回は胃腸の問題である毛球症をお伝えしましたが。今回は歯の問題をお話しします。

ワンちゃんや猫ちゃんは少し噛んですぐに飲み込みます、雑食〜肉食獣だからです。ワンちゃん猫ちゃんは虫歯で歯が折れたり、加齢で歯が抜けても食事を噛まずに飲み込むことで生きていけます。歯石でグラグラしている歯は抜いても問題ありません。

しかしウサギさんの歯のメカニズムは繊細で歯が痛くなり問題が出てくると食べれなくなって最終的に死に至ります。

ウサギさんは完全草食動物なので生きていくために食物繊維が大量に必要です。ウサギさんは硬い牧草をたくさん食べてしっかり消化できるように、牧草を前歯で細かく切り刻み奥歯ですり潰して飲み込みます。そのためウサギさんは前歯も奥歯も全ての歯が一生伸び続けます。硬い牧草を食べ続けるために歯がすり減ってもすぐに伸びてくるので歯が無くなってしまうことはありません。逆の言い方をすると、柔らかいものばかり与えていて歯が削れないでいると歯が伸びすぎてしまうのです。歯が伸びすぎると食べることが出来なくなってしまいます。ウサギさんの歯はとても繊細で大切なんです。

ウサギさんの歯は1ヶ月に1cm伸びるとも言われています、野生のウサギは移動中でも草や木の皮を常に齧って歯の伸びすぎを防いでいるとも言われています。飼育下での場合も同様に常に何かを齧っていられる環境を与える必要があります。すなわち硬い牧草を食べ放題にし、様々な齧り木をケージに設置し、柔らかい生野菜やオヤツ類の多給を避けるようにします。逆に固すぎる金網ケージをガリガリ齧ってばかりいると前歯の歯根が痛み曲がって伸びてしまいます。

歯が伸びすぎると、前歯が伸びすぎるとうまく食べ物を口に入れることが出来なくなります、奥歯が伸びすぎると口の中が傷ついてヨダレが出たり痛がったりします。痛みからさらに柔らかい食べ物を好むようになります。ますます歯が削れなくなって正常な歯も伸び過ぎてきてしまいます。

ウサギ 切歯過長下の前歯が伸びすぎです。

ウサギ 切歯過長 処置後こんな感じで切ってあげます。前歯なら無麻酔で簡単に切れます。

ウサギ 不正咬合この子は下の歯が前側に向かって生えてしまっているため、一生定期的にカット(無麻酔)しなければならないでしょう(1〜2ヶ月に一度くらい)。あるいは全身麻酔をかけて歯を抜いてしまうテクニックもありますが、、、。

前歯の問題は飼い主様がご自宅で見て、ある程度は判断できると思いますが、問題は奥歯です。奥歯はかなり伸びすぎて実際に口腔内を傷つけない限り症状が出ないのでなかなか発見できません。さらに病院でもウサギさんの奥歯は小さい口の奥の方にあるので無麻酔では異常発見が困難な場合もあります。

明らかにヨダレがダラダラ出ていて、口を触ると痛がれば、奥歯の伸びすぎであることは明白です。しかしほんの少しの奥歯の伸びすぎでヨダレが少ないものや美味しいものなら食べるけど主食は食べないといった場合は、無麻酔検査では異常が検出できないこともあります(奥歯はとても奥にあり小さいし舌もモゴモゴ動いて異常検出しづらいのです)。また胃腸が問題でもそのような症状が出るため、まずは胃腸の治療をして様子を見ることもあります。あまり改善なければ麻酔をかけて口をガバッと開いて奥歯をチェックします。

ウサギ臼歯不正咬合奥歯の伸びすぎを麻酔下でチェックしてます、矢印の先のとんがっている歯が舌を傷つけていました。前臼歯ではなく後臼歯でした。手前のボヤけているのが私の親指なので奥歯がいかに小さく奥にあるかわかると思います。カットして整えれば食欲は劇的に改善します。

ウサギ臼歯抜歯

 

別の子です、右上顎後臼歯、左下顎後臼歯が伸びすぎです、舌には潰瘍ができてました。これらの歯はグラグラ動揺していたため、痛みの除去を目的とし抜歯しました。

ウサギ臼歯抜歯後

抜歯しました。痛み止めと胃腸の動きを活性化する注射をして基本的に日帰りです。処置前まで全く食べなかったのに翌日からバクバク食べたようです。この子も様子により定期的に麻酔下で奥歯の処置が必要になるかもしれません。

ウサギさんは歯の伸びすぎで食欲がなくなりますが、一般的に治療に対する反応は良好で、歯を抜いてもその日のうちか翌日には食欲が戻ります。

また歯の伸びすぎでヨダレが出ると、ヨダレによる皮膚炎が問題になることもあります。さらに非常に難しい問題なのですが、歯が口の中側に伸び過ぎるのではなく、歯が顎の骨側(歯の根っこ側)に伸びることがよくあります。その場合下顎であれば顎が腫れてくるといった症状を示し、上顎であればなんと眼球や涙管に問題が及び、目が飛び出してきたり、目から膿が出てきたり、涙が止まらなくなったりします。そうなってくると抜歯しても症状が治らなくなることもあります。

これらの歯の問題は食生活が大きく影響してます。すなわち柔らかい葉物やオヤツ類を日常的に与えるのは控えましょう。ロングタイプの牧草を常に齧れるように食べ放題を推奨します(ペレットの量を調整すれば太りません)。様々な種類の齧り木をケージに設置しましょう。固すぎる金網ケージをガリガリ齧らせないようにしましょう。

 

前歯(切歯)の不正咬合カット 基本的に無麻酔で500円〜1000円

奥歯の不正咬合カット 基本的に麻酔下で費用総額18000円〜30000円(血液検査レントゲン代込み)(抜歯の有無本数による)(定期的カットが必要になったら割引あり)

 

 

 

 

投稿者: アプリコット動物病院

2017.02.15更新

今回はウサギさんの食欲不振のお話です。

ウサギさんが体調悪そう、元気が無い、食欲がない、などといった症状の場合は一般的に80%が胃腸の問題だと言われています。残り10%は歯の問題で、残りの10%はその他の臓器が問題です。

今回はウサギさんの体調不良の80%の原因をしめる胃腸の問題(消化器失調)のお話です。

完全草食動物であるウサギさんは胃腸及び腸内細菌が命であり、チョットした事ですぐに胃腸の調子が崩れます。すなわち食事の急な変更、食べなれないオヤツの多給、段ボールやカーペットなど異物の誤食、様々なストレス、などが原因として考えられます。しかし最も多いであろう原因は日常の毛づくろい時に自身の毛を飲み込んでしまい、その毛玉によって胃腸の調子が崩れる事です。

ウサギさんは完全草食動物であり、その胃腸の構造から吐き戻すという行為ができません。猫ちゃんなら飲み込んだ毛玉は吐き戻すことができますが、ウサギさんは飲み込んでしまった毛玉は吐き戻すことができず、便から出すだけになります。そのため、あまりに多くの毛玉を飲み込んでしまうと胃腸の調子が崩れ、最悪の場合、胃腸が完全に詰まってしまう事もあります。

胃腸の流れが悪くなると、当然食欲や元気が無くなります、また便の粒の大きさが小さくなり繋がって出てきたり量も減ってきてます、お腹が痛いのでお腹を床に擦り付けたりする行為をする事もあります。

ウサギ正常腹部正常ウサギのレントゲンです、胃の大きさは空腹時であればこの程度ですし、食後なら肋骨の切れ端から胃が少し出る程度です。

ウサギ毛球症レントゲン胃腸閉塞のレントゲンです、丸2日食べてないのに胃がパンパンに膨れています!二日前に食べたご飯が胃から小腸に流れないでいるのです!!胃腸の流れが停止ているのでしょう。かなり危険な状態です。

治療方針は、今にも破裂しそうでなければ、まずは内科治療から入ります。胃腸の動きを活性化する注射と水分補給の点滴をします(点滴は脱水症状の改善と血液量を増やし胃腸への血流を増やすのが目的です)。なるべく通院してもらいます、病院に入院することがストレスになりますので連日通院可能であれば通院で治療します。食欲が戻るまで2日でも3日でも連日通院してもらいます。食欲が出るまではとにかく何でも美味しいものを与えてもらいます、第1選択はセロリやブロッコリーの茎や大根の葉の部分です、これらは食物繊維が豊富でウサギさんの栄養バランスをよく満たしてくれるからです、しかしそれを食べない場合は第2選択はレタスやキャベツなどの葉物です、それもダメなら第3選択にニンジンやサツマイモやリンゴなどを与えてもらいます、さらにダメならウサギ用ビスケットやドライフルーツを与えます(日常的に与えるのはヤメましょう、病気の時だけ与えましょう)。とにかく胃腸をドンドン動かさないといけませんから何でも与えてもらいます。便が出るようになって食欲が50%を超えてきたらあとは飲み薬に切り替えて通院終了です。

この治療で実に90%以上の確率で治ります(私の経験上)!早ければ次の日には食欲が戻る子もいますし、時間がかかる場合には2〜3日かかりますが90%の症例でこの単純な内科治療で治っています。上のレントゲンの子も3日ほどの通院で食欲が出てきました!

しかしながら、中には内科治療に全く反応しない症例もいます、そうなると外科手術で胃腸の閉塞を解除しないと助かりません!!

本院ではまずは内科治療を1〜3日試みます。全く回復の兆しがなく元気が無くなっていくのに内科治療をだらだらやっていてはいけません。外科手術に踏み切る前にバリウムを少しだけ飲ませて胃腸の流れを画像で確認します、そしてバリウムが全く動かない場合は完全閉塞ということになります。

ウサギ バリウムバリウムを飲ませて24時間経過したレントゲンです。

バリウムが全く胃から出て行きません。胃の膨らみ具合は先ほどのレントゲンの子ほどではありませんが、完全閉塞しているようです、手術をしないと次第に衰弱し亡くなってしまうのは明白です。

ウサギ毛球症手術全身麻酔下でお腹を切り開いて、胃を切開して中の毛玉を摘出して胃腸の開通性を確認し洗浄して閉じます。

ウサギ毛球症手術後取り出した毛玉です。3−5日入院し、食欲が安定したら退院です。

ウサギさんは基本的に春と秋に換毛期を迎えます。換毛期にはたくさん毛が抜けます、それを飲み込んでしまい胃腸の調子が崩れるので、特に換毛期にはたっぷりブラッシングして飲み込んでしまう毛玉を少しでも減らしましょう。長毛種のウサギさんは常日頃からブラッシングをよくしましょう。

ウサギさんは完全草食動物であり、メインとなる必要栄養素は食物繊維です。食物繊維含有量の多い牧草とウサギ用ペレットと水があれば実は生野菜は与えなくても全く問題ありません。しかしながらオヤツとして生野菜を与えるならば前述した通り食物繊維の豊富なブロッコリーの茎やセロリや大根の葉の部分がおすすめです。キャベツやレタスなどの葉物は食物繊維があまり豊富とは言えませんし柔らかくて歯の健康にも疑問です。ウサギ用ビスケットやドライフルーツなどはあまり食物繊維が多くないですし甘く柔らかいのでウサギさんに適したオヤツとは言えません。与えすぎに注意しましょう。あとは適度な運動と様々なストレスを減らす工夫をして消化器失調を予防していきましょう。

ウサギ 毛球症 胃切開手術 3〜7日入院 費用総額 10万円程度 

投稿者: アプリコット動物病院

2017.02.08更新

今回は舌の腫瘍です。

13歳のミニチュアダックスが食欲がない、よだれが多い、緑色のよだれが出る!?とのことで来院しました。

吐き気がする場合にもよだれが多く出ますが、緑色っぽいよだれとのことでしたので口の中に腫瘍でもあるのかなと思い口の中をよく見てみますが何もありませんでした。

でも確かに異常によだれが多いのでガッと口を大きく開けて見ると、舌の奥に巨大な腫瘍がありました。喉全域を占めるほどの巨大な腫瘍でした。こんなものがあったら確かに食べられないよな、、、治療方針は外科手術で摘出するか放射線治療で腫瘍を小さくして再び自力で食べられるようにするか(癌に対抗する治療で手術や放射線による体へのダメージを伴う)、あるいは自力採食を諦めて食道チューブや胃瘻チューブを設置して口を使わずに食べれるようにする(癌と共存していく治療で体へのダメージは非常に少ない)か、、、13歳という年齢を考えると悩ましいです。

口腔内腫瘍で2〜3cmを超えてくると、広範囲に切除手術することが困難なことが多く、手術で痛い思いをしても根治は難しい可能性がある。放射線治療も大学病院に頻繁に通いその都度全身麻酔が必要になり、放射線治療も同様に根治は困難なことが多い。

飼い主様とよく相談させていただいて、今回は外科手術で腫瘍の切除に挑むことにしました。

切除の方法は根治を目指して舌の全切除をするか(舌が無くなるために摂食障害が出るので食事の与へ方を工夫する必要がある)あるいは腫瘍のくっついてる舌の表面を切除するか、、、高齢なのでなるべく体へのダメージを少なくしたいとのことで、舌全切除ではなく、舌部分切除をすることにしました。

舌腫瘍1舌腫瘍2

 

こんな感じで舌の根元に存在していました、口を大きく開けて舌を引っ張り出さないと見れませんでした。写真は麻酔中なのでしっかり見えますが、普段の起きてる時は確認困難です。巨大化して症状が出るまで発見できなくても仕方がないです、、、このくらい巨大化してようやく症状が出るのです。

舌腫瘍手術舌腫瘍手術後

腫瘍だけではなく正常な舌も少し含め腫瘍を完全に摘出して縫い合わせました。抜糸の必要ない吸収糸で縫合します。ついでなので歯石も取りました。

手術後は3日ほど舌を使わせないように鼻カテーテルを設置して流動食を与え、4日目位から自力での採食に切り替えました。手術の影響で舌は少し曲がってしまいましたが、舌の部分切除だったため摂食障害は無く、バクバク食べるので退院としました。

病理検査の結果は悪性黒色腫(メラノーマ)で、癌は完全切除されているが癌細胞が血管の中に浸潤している、とのことでした。口腔内メラノーマは極めて悪性度が高い腫瘍で、血管に浸潤しているとなると今後肺転移が予想されます。今後の治療として抗癌剤をどうするか、、、と悩みましたが、手術後劇的に状態が改善し、よだれも無くなりものすごい元気になってものすごく良く食べるので、肺転移を抑えてさらなる延命を期待して抗癌剤をすることにしました。

抗癌剤は3週間毎に1日だけ日帰り入院して点滴するタイプの抗癌剤を計6回実施しました。抗癌剤中の数ヶ月、大きな副作用で苦しむこともなく経過し、無事抗癌剤も卒業できました!その後は肺転移が起きないか、舌に再発しないか、定期検診することになりました。

その後なんと手術から2年4ヶ月、再発も肺転移もすることなく15歳になり今も元気にしてます。手術をしなければ食べれずに苦しんで数週の命だったかもしれません。

口腔内悪性腫瘍、特に口腔内メラノーマは悪性度が高い癌で、手術や抗癌剤を実施しても比較的早期に再発や転移が起きてしまいます。今回も腫瘍の大きさ、存在位置、病理検査で血管内に癌浸潤が認められたため、正直今回も長期的見通しは長くないかも、、、と思いましたが諦めずに治療して本当に良かったです。

 

小型犬 舌腫瘍 舌部分切除手術 鼻カテーテルor食道チューブ設置 入院から退院まで費用総額 8万円〜 (舌の切除範囲、腫瘍の大きさによる)

舌の小さなポリープ程度なら日帰りで3〜4万円

 

投稿者: アプリコット動物病院

2017.02.02更新

今回は停留精巣のお話です。停留精巣(呼び方は潜在精巣/陰睾丸など)。停留精巣はワンちゃんにも猫ちゃんにもあります。

精巣は実は生まれる前は腎臓の横に存在し、生まれた後に腹腔外に出て正常な位置に降りてきます。その精巣が生まれてしばらく経っても正常な位置に収まらず、オナカの中に残ってしまったり、内股の皮膚の下に埋もれてしまったりすることを停留精巣/潜在精巣/陰睾丸と呼びます。

原因は遺伝的に性ホルモンの不足や精巣を体外に導く管の未発達などが考えられています。両側が停留精巣である場合は精子形成能力は乏しいようですが、片側が正常位置にあれば精子形成能力はあるので繁殖は可能です。しかしながらこの停留精巣は遺伝するとも言われているため、停留精巣の子は繁殖は控えるべきでしょう。

なぜなら停留精巣の子は精巣癌になる確率が、正常精巣の子に比べて10〜20倍とも言われているからです。精巣癌に関してはこちらをご覧ください。

停留精巣だからと言ってすぐに癌になるわけではありません、一般的には6歳以上で癌になりやすくなります。

精巣癌になってから手術をするより、若いうちに癌になってない状態での精巣摘出手術を積極的に考えましょう。

停留精巣 犬精巣の膨らみが1つしかありません、停留精巣です。

停留精巣 手術 犬腹腔内停留精巣の場合は開腹手術でお腹の中の精巣を摘出します。

基本的に若い子の停留精巣の手術は腹腔内であっても日帰りです。

停留精巣は高確率で癌になります、積極的に精巣摘出手術(去勢手術)を受けるようにしましょう。

 

停留精巣が皮膚の下に埋もれている場合は通常の去勢手術料金もしくは存在位置により通常の去勢手術料金に1500~3000円加算となります(日帰り)。

停留精巣が腹腔内の場合は開腹手術になりますので 避妊手術料金と同じ料金になります(日帰り)。料金はこちらをご覧ください

 

投稿者: アプリコット動物病院

2017.02.01更新

今回はワンちゃんの精巣癌です。片玉(停留精巣、陰睾丸)のワンちゃんはほぼ全ての子が精巣癌になると言っても過言ではありません。また通常の精巣でも精巣癌は発生します。

ワンちゃんの精巣癌は一般的に3種類のタイプがあって、精子を作る細胞の癌(精細胞癌)。精子に栄養を与える細胞の癌(セルトリ細胞腫)。精細胞やセルトリ細胞を支える役割の細胞の腫瘍(間質細胞腫)。となります。

それぞれ特徴があります。

間質細胞腫の半数は両方の精巣に発生します、精巣が大きくなるだけで特に症状は出ません、基本的に良性腫瘍であり外科手術で適切に摘出すれば完治します。

精細胞癌とセルトリ細胞腫はほぼ片側精巣だけに発生しますが稀に両側精巣に発生します。精細胞癌とセルトリ細胞腫は悪性腫瘍であり転移率は5〜10%程なので、大半は手術で完治が狙えます。精細胞癌とセルトリ細胞腫の症状は初期は同じく精巣が腫れるだけで無症状ですが、進行するとなんと精巣が女性ホルモンを作ってしまい、体つきが雌化(左右対称性に被毛が薄くなったり、乳房が大きくなってきたり)する事があります、また女性ホルモンにより貧血になったりもします。かなり巨大化した精細胞癌やセルトリ細胞腫で検査でリンパ節転移や血管の中に癌細胞が入り込んでいる所見が得られたら、手術後に抗癌剤も考えます。腹腔内停留精巣のワンちゃんはほぼ精細胞癌かセルトリ細胞腫の確率が高くなります。

間質細胞腫 間質細胞腫2

手術はこんな感じです。精巣腫瘍は確実に摘出するため精巣を包む袋(陰嚢)ごと摘出します。そんなに大変な手術ではないので大きな問題がなければ基本的に日帰り手術です。この子は間質細胞腫だったのでこれで完治です。

しかし、腹腔内停留精巣癌の場合は開腹手術になり、別次元の手術となります。かなり巨大化して周囲へ癒着/腹膜炎を起こしているような場合は入院が必要になります。

犬 雌性化 精細胞癌 

男の子のワンちゃんなのに乳首と乳房が腫れて雌性化してしまっています。腹腔内ある精巣癌が女性ホルモンを作っているからです。

腹腔内精巣癌 犬下の丸いのは膀胱で、その上が精巣癌です。癒着や腹膜炎はありませんでした。

停留精巣/陰睾丸のワンちゃんは精巣癌になる確率が通常の10〜20倍とも言われています。停留精巣/陰睾丸のワンちゃんは癌になってしまう前に精巣摘出手術を必ず受けるようにしましょう。

精巣癌は転移率が低いため、外科手術単独で完治が狙えます。精巣の大きさの左右不対称に気づいたら積極的に手術するようにしましょう。

お気軽にご相談ください。

 

精巣癌摘出手術 通常位置にある場合 基本的に日帰り手術 費用総額 4〜6万円

精巣癌摘出手術 腹腔内にある場合 状況により1〜3日入院 費用総額 7〜9万円(腫瘍の大きさ、周囲組織への癒着状況による)

投稿者: アプリコット動物病院

2017.02.01更新

今回は15歳の猫ちゃんの腎臓癌です。

症状は最近よく吐く、食欲がイマイチ、という症状でした。若ければ単なる胃炎や食あたりという可能性もありますが、今回は15歳とかなりの高齢なので全身を詳しく調べました。

腎臓癌 レントゲン

血液検査では、高齢ですが特に大きな異常は認めませんでした。しかしレントゲンでは左の腎臓が大きくなっているのがわかりました。

右の腎臓は正常範囲でした。腎臓が大きく見える場合は、代償性肥大(片側の腎臓が機能不全に陥った時に残った方が大きくなる)や水腎症(尿路閉塞により水風船のように

大きくなる)や腎臓の感染/炎症により大きくなる、、などです。超音波検査を実施したところ左の腎臓は腎臓としての原型を留めておらず、充実した細胞塊に置き換わっていましたので、左腎臓は腫瘍化してしまったと考えました。

高齢でもあることから、飼い主様とよく相談して、とにかく吐いて食べれないのが可哀想とのことなので腫瘍化した左腎臓を摘出手術をすることにしました。

腎臓癌 手術

左腎はドス黒く変色していました。気をつけて周囲の血管や臓器との癒着を剥がして、腎臓動脈/腎臓静脈/尿管を処理していきます。

腎臓癌 手術後

 

摘出できました、爪楊枝1本分くらいの大きさでした。

4日間入院して点滴/化膿止めの抗生剤/痛み止めを使用して、食欲が戻ってきて嘔吐も落ち着いたので退院しました。

この腎臓腫瘍を病理検査センターに送ったところ、腎臓の血管の癌である血管肉腫と判明しました。血管肉腫は数ある悪性腫瘍の中でも悪性度が高く、転移性が高いため長期生存率は悪い事が知られています。今後は延命のため抗がん剤の使用を飼い主様と相談しましたが、今現在で食欲あればそれでOK!で、年齢的に抗癌剤はせずに経過観察していくことになりました。

腎臓腫瘍は摘出する前に、体に残されるもう一つの腎臓がちゃんと機能しているか!?をしっかりと尿検査や血液検査や尿路造影などで確認してから手術となります。残される腎臓もすでに機能不全に陥っていたら摘出手術は通常しません。しっかり見極める事が必要です。

また今回は食欲不振と嘔吐が症状でしたが、腎臓癌は血尿が出る事があります。膀胱癌や膀胱炎は頻尿という症状も出ますが、腎臓癌は頻尿を伴わない血尿になります。血尿という症状があれば分かりやすいですが、血尿が無く、片側の腎機能が正常であれば腎臓癌は末期になるまでほぼ無症状です。食欲不振や嘔吐も高齢猫ならばよくある話なので、高齢動物はしっかり検査していかないと重要な病気を見過ごしてしまいますね。

猫 腎臓癌摘出手術 入院〜手術費用総額 12万円前後

 

投稿者: アプリコット動物病院

2016.09.23更新

今回はワンちゃんの心臓病のお話です。

前回は猫ちゃんの心筋症のお話をしました。心臓の構造はワンちゃんも同じで、心臓の部屋は4つに分かれています。

肺から酸素化された血液を受け取る左心房。

左心房から酸素化された血液を受け取り、それを全身に送る左心室。

全身から二酸化炭素化された血液を受け取る右心房。

右心房から二酸化炭素化された血液を受け取り、それを肺に送る右心室。

また各部屋の間には血液が逆流しないように弁があります。 

犬 正常 心臓

犬 正常 心臓

上の動画は健康なワンちゃんの心臓超音波像です。カラードップラー超音波で血液の流れに色をつけてます。

赤い血液は左心房から左心室へ流入する血流(心臓拡張時)。青い血液は左心室から大動脈へ流れる血流です(心臓収縮時)。心臓が収縮した時に弁がしっかり機能していると血流は左心房側に逆流することなく綺麗に大動脈に流れていきます。

 

 僧帽弁閉鎖不全症とは左心房と左心室の間にある左房室弁(僧帽弁)が機能障害を起こし、弁が完全に閉じなくなってしまい血液の逆流を起こしてしまう病気です。

主に小型犬(チワワ ヨークシャーテリア マルチーズ ポメラニアン トイプードル シーズー キャバリアなど)で非常に多いです(全ての犬種でなります)。

まだ原因はしっかり解明されていませんが、加齢によって発症が増えていきます。

犬 僧帽弁閉鎖不全

こちらが僧帽弁閉鎖不全症のワンちゃんの血流です。左心房から左心室へ流れる赤い血流(心臓拡張時)。左心室から大動脈へ流れる青い血流(心臓収縮時)。それと同時に心臓が収縮した時に左心室から左心房へ噴き出している緑〜黄色のモザイクパターンが確認できます、これが僧帽弁閉鎖不全による血液の逆流です。僧帽弁がしっかり閉まらないため血液の逆流が起きてしまうのです。

僧帽弁閉鎖不全症は初期症状はほとんどありません。聴診器で聴診すると血液の逆流音が心雑音として聴取されるのみです。進行するにつれて咳や散歩時に疲れやすくなったりします(運動不耐性)。

この咳は肺水腫(肺に血液の液体成分が溜まる状態)や大きくなった心臓による気管の圧迫により起こります。血液が左心房に逆流することで左心房に圧がかかって左心房が膨れてきます、これにより気管が圧迫されて咳の原因になります。また逆流により左心房に圧がかかると連結している肺にも圧がかかり血液成分の血漿が血管から肺に漏れ出てしまい肺水腫となって咳や運動不耐性の原因となります。

犬 胸部レントゲン 正常犬 胸部レントゲン 肺水腫

 

健康な子の胸部レントゲンと僧帽弁閉鎖不全症により肺水腫を起こしている子の胸部レントゲンです。本来なら空気で満ちて黒く映る肺が肺水腫によってぼんやり白く映り心臓の輪郭もはっきりしません。また心臓も著しく拡大しています。あまりに肺水腫が重度になると呼吸困難になり酸素不足でチアノーゼ(舌が紫になる)になり卒倒したり死に至るケースもあります。このような状態になると緊急入院で酸素室に入り強心剤や利尿剤の点滴が必要になります。

 この僧帽弁閉鎖不全症は初期症状が無いので発見が遅れがちですが、実は検査及び診断は極めて容易です。単純に聴診器で心音を聴いて心雑音を聴取したら心臓超音波で僧帽弁の逆流を確認するだけです、重症度の評価も含め10分ほどで診断できてしまいます。初期症状が無いので飼い主様は気づいていないだけで、予防注射の時の健康チェックや別の理由で病院にご来院いただいた時に診断されることが殆どです。

 非常に初期の状態の軽い逆流ですと重症化して肺水腫になるまでは数ヶ月以上かけてジワジワとゆっくり進行することが一般的です。しかし急にしょっぱいもの食べて血圧が急上昇したり、激しく興奮して血圧が急上昇したり、弁を支持している糸が切れてしまったり、様々な理由で逆流が急速に悪化し急性肺水腫となることもよくあります。

 治療は一般的に内服治療がメインとなります。血圧を下げて心臓の負担を減らし心筋の変性を防ぎ肺水腫への進行を抑える内服を始めとし、進行に合わせて強心剤の併用、肺水腫傾向になれば利尿剤の併用も必要になります。基本的に内科治療は治すのが目的ではなく、初期は進行し肺水腫になるのを抑え、進行時は肺水腫による咳や運動不耐性を改善し生活の質を上げるのが目的です。内科治療は終生続けるべきです(一部の大学などでは人工心肺装置を使用し心臓にメスを入れ人工弁を設置するなどの根治を目指した外科手術も実施しています)。

 僧帽弁閉鎖不全症は初期の症状がない段階での治療をどうするかが悩みどころです。症例によっては僧帽弁閉鎖不全症であっても無症状期はワンワン吠えて元気いっぱいに走り回っています。咳や肺水腫が発現するまでの無症状期に、いったいどの段階で治療を始めるのか?明確な治療開始時期のガイドラインはまだありません。

 本院の考え方としては、進行してゲホゲホ咳して苦しがってから治療を始めるよりは、せっかく進行を抑える薬が存在するのだから無症状期から進行を抑えるお薬の内服をお勧めしております。

体重5㎏程度の小型犬であれば初期の内服代は1日あたり54円〜108円です。本院では心雑音が聴取され、僧帽弁閉鎖不全症と診断されれば飼い主様とご相談の上、心臓の内服をお勧めします。

また進行を抑える内服をしていても残念ながら最終的には進行して咳や肺水腫が現れる事があります、それを防ぐため定期的に進行度を評価して必要に応じて強心剤や利尿剤の追加を検討します。

 心臓病が心配な方、心臓病でお困りの方、お気軽にご相談ください。

 

 

 

 

 

投稿者: アプリコット動物病院

2016.09.22更新

今回は猫ちゃんの心臓病のお話です。

心臓は人間と同じように4つの部屋に別れています。

肺から酸素化された血液を受け取る左心房。

左心房から酸素化された血液を受け取り、それを全身に送る左心室。

全身から二酸化炭素化された血液を受け取る右心房。

右心房から二酸化炭素化された血液を受け取り、それを肺に送る右心室。

下の画像は正常な猫ちゃんの心臓の内部構造を示した超音波画像とその動画です。

猫 正常心エコー

 

猫 正常 心臓 

健康な猫ちゃんの心臓はダイナミックに動きます。生命の力強さを感じますすね。

 

心筋症とは、心機能障害を伴う心筋疾患 と定義され、

左心室の壁がぶ厚くなってしまう肥大型心筋症。

左心室の壁が薄くなってしまう拡張型心筋症。

左心室の動きが鈍くなってしまう拘束型心筋症。などなど様々に分類されます。

原因は遺伝、栄養不足、感染症、など様々に言われていますが、詳細なことは分かっていないのが現状です。若い子も高齢の子も同じようになってします可能性があります。

 

症状は非常に悩ましく、ある程度進行するまでは無症状であることが殆どなのです。進行してくると、運動しなくなったり、食欲落ちたりします。さらに進行して末期的になると、ハアハア呼吸が荒くなったり 、失神したり、ぐったりしてきます。

食欲が落ちたり元気が無くなったりしても、歳のせいと思われて発見が遅れることが多くあります。末期になってようやく目に見える症状が現れ、飼い主様が気づくケースが多いです。ここが猫ちゃんの心筋症の怖いところだと思います。中には末期になって呼吸困難になる前日まで食欲が落ちなかった子もいます。

末期になると胸の中に水が溜まったり(胸水)、肺の中に水が溜まったり(肺水腫)、などして急死することもあります。

猫 正常胸部レントゲン猫胸水

健康な子の胸部レントゲンと胸水が溜まった子のレントゲンです。健康な子は肺は黒々として美しく中央の心臓も綺麗に見えますが、胸水が溜まると黒い肺が小さく潰れてしまい心臓も不明瞭になります。この子の胸からは200cc弱の胸水が溜まってました。ここまで胸水が溜まると死ぬほど苦しいでしょう。すぐに酸素吸入して胸に針を刺して胸水を抜いてやらなくてはいけません。

 

猫 拡張型心筋症

こちらは 拡張型心筋症の猫ちゃんの超音波画像です。左心房も右心房も著しく拡張し、全身に酸素化された血液を送る大切な左心室の壁が薄くなってしまい殆ど動いていません。

猫肥大型心筋症

 

こちらは肥大型心筋症の猫ちゃんの超音波画像です。ノイズが多く分かりづらいですが、左心室の壁がぶ厚くなって動きが鈍く、左心室内腔があまり広がりません。

 

このように心筋症と言っても型により病態メカニズムは全く変わってきます。当然治療も異なります。

拡張型心筋症は心筋が動くように強心剤などを使い、逆に肥大型心筋症は筋肉を薄くさせるために心臓の動きを穏やかにさせるようなお薬を使ったりします。

レントゲンや心臓超音波検査でしっかり病態を把握し、それぞれの病態に合わせた治療が必要になります。

 

前述のように猫ちゃんの心筋症は病態が進行しないと症状が現れないので早期発見には定期的な健康診断が必要になります。

なんだか元気がない、寝てばかりいる、などの症状で心臓に問題がある場合があります。心筋症でお困りの方、お気軽にご相談ください。

 

 

 

 

投稿者: アプリコット動物病院

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