症例集

2016.04.15更新

今回の症例はミニチュアダックスでしばらく前から便に血がつく、軟便の血便をするとのことでご来院されました。

 一般的に下痢便に伴って血液が混ざる事は珍しい事ではありません、大腸も炎症を起こして粘膜が荒れると容易に出血します。ですので下痢便に伴って血液が少々混ざるくらいなら単純に下痢の治療をすればほぼ治ります。ちなみに猫ちゃんでは便秘などで硬いカチカチの便をした後に切れ痔になって便に血がつく事も多いです。

 しかしながら普通の便に血液が付着する、そして割と高齢のワンちゃんであれば大腸癌や大腸粘膜の炎症性ポリープの可能性があります。大腸癌であっても初期は元気食欲は落ちません。長いこと症状が続いているようならば詳しく調べなくてはいけません。

犬 大腸ポリープ犬 大腸ポリープ

 

単純バリウム注腸像とガス注入像(大腸粘膜を伸ばす像)です。両者ともに矢印部分にバリウム欠損像、粘膜不整が認められます。

このような像が得られたら単なる下痢の大腸炎ではなく炎症性ポリープや大腸癌の可能性が濃厚なので大腸内視鏡に進みます。

犬 大腸ポリープ内視鏡

 

大腸内視鏡で大腸内腔面積を半分以上占拠する腫瘤が認められました。このまま内視鏡下で一部を切り取って病理検査センターに送ります。

今回の子は病理検査の結果 大腸癌ではなく炎症性ポリープと診断されました。よかったです。

大腸癌であったなら開腹して大腸の部分切除手術が必要になりますが、炎症性ポリープの場合はステロイドや免疫抑制剤などの内科治療がメインになります。

大腸の病気は重度にならないと元気食欲は落ちないことが多いです。便に血がつくなどでお悩みの方、お気軽にご相談ください。

ミニチュアダックス 下血 バリウム注腸・ガス注入(無麻酔)大腸内視鏡(鎮静〜全身麻酔) 基本的に日帰り〜1泊 費用総額4〜5万円

投稿者: アプリコット動物病院

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