症例集

2016.09.15更新

今回はハムスターの腫瘍 麻酔 手術についてです。

前回の症例紹介でウサギの麻酔はデリケートだとお話ししましたが、ウサギさんと同等にハムスターの麻酔も悩ましいです。

とにかく体が小さいため、まず麻酔をかけても大丈夫かどうか調べるための麻酔前検査としての血液検査などが極めて困難で、全身状態の詳細な把握が難しいです。そして麻酔中の血管点滴も不可能です。心電計を装着したり血圧測定したりなどの麻酔モニターも不可能です。注射麻酔で安定して麻酔かけることも困難です。

 ではどうやって麻酔をかけるか? 極めて原始的で単純にガス麻酔を嗅がせて寝ている間に手術してしまうしかないです。とりあえず胸の動きを見て息をしてるかどうかで呼吸数だけモニターするしかないのです。手術場所が体の末端であれば聴診器で心音くらいは聞けますが、手術部位がお腹や胸であれば聴診もできなくなります。もし麻酔中に呼吸が止まってしまっても人工呼吸も困難です。ですのでハムスターの麻酔は言うなれば一か八か的なところがあります。

ですので本院はハムスターに麻酔をかける基準を設けています。

まず年齢はジャンガリアンハムスターなら1歳半まで。ゴールデンハムスターやキンクマ系は2歳まで。元気食欲が安定していること。筋肉に固着していない体表面の腫瘍であること。ちょっと出血しただけでも命にかかわるので、体表面の腫瘍の切除なら自身の頭部の大きさを超えないこと。手術によって根治が期待できる疾患であること(骨が飛び出てしまってる骨折に対する手足の切断手術など)。

それ以上の年齢だったり腫瘍があまりにも大きく根治が困難な場合や腫瘍が体にガッチリ固着してる場合や腫瘍がお腹の中にある場合は手術しない選択肢を提示します。

あとは飼い主様とのご相談になります。よくあるのが体表腫瘍が破裂してジュクジュクしてしまい辛そうで見ていられないからとにかく手術してほしい、といったケースがあります。この場合多くは高齢ハムスターで腫瘍も大きいのです。そして麻酔をかけると手術中に死亡してしまうことが当然あります。しかしながら麻酔中に亡くなってしまうということは、すなわち安楽死ということになります。ですので飼い主様とよくご相談させていただいた上で、このまま腫瘍の破裂によるジュクジュクで苦しむのなら安楽死前提で手術をすることもあります。

ハムスター腫瘍

 

こんな感じでガスを嗅がせて寝かすだけです。この腫瘍は頭部より小さい体表面の腫瘍なので根治が期待できます。手術適応ですね。

ハムスター腫瘍切除

 

なんとか無事終わりました。

ハムスター手術は手術後の傷口縫合は吸収糸と言って溶けて無くなる糸を使って縫いますので抜糸はしません。手術後はハムスターに傷保護のテーピングは不可能です。舐めさせないようエリザベスカラーも結構困難です。

当然傷口を気にして舐めなて糸を齧ってしまうので時折傷口が開いてしまうことがあります。しかしながらハムスターの傷の治りは極めて速いので今まで傷が開いてしまっても再縫合が必要になった症例はいません。

またハムスターは切除した腫瘍を検査センターに送るかどうかを飼い主様に考えてもらってます。人間やワンちゃんネコちゃんであれば手術後に癌の種類に応じて抗癌剤や放射線治療といった追加治療の選択肢があります。しかしハムスターの場合は検査に出せば腫瘍の種類は確定できますが、その後の抗癌剤や放射線治療が無いのでの延命治療ができないので検査に出さないこともあります。

 

ハムスターは腫瘍が非常に多い動物種です。ハムスター腫瘍でお困りの方、お気軽にご相談ください。

 

ハムスター 麻酔 腫瘍切除 1万5千円〜2万5千円前後(腫瘍の大きさや難易度による)、腫瘍を検査センターに送る場合プラス1万2千円。

 

投稿者: アプリコット動物病院

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