症例集

2017.02.01更新

今回は15歳の猫ちゃんの腎臓癌です。

症状は最近よく吐く、食欲がイマイチ、という症状でした。若ければ単なる胃炎や食あたりという可能性もありますが、今回は15歳とかなりの高齢なので全身を詳しく調べました。

腎臓癌 レントゲン

血液検査では、高齢ですが特に大きな異常は認めませんでした。しかしレントゲンでは左の腎臓が大きくなっているのがわかりました。

右の腎臓は正常範囲でした。腎臓が大きく見える場合は、代償性肥大(片側の腎臓が機能不全に陥った時に残った方が大きくなる)や水腎症(尿路閉塞により水風船のように

大きくなる)や腎臓の感染/炎症により大きくなる、、などです。超音波検査を実施したところ左の腎臓は腎臓としての原型を留めておらず、充実した細胞塊に置き換わっていましたので、左腎臓は腫瘍化してしまったと考えました。

高齢でもあることから、飼い主様とよく相談して、とにかく吐いて食べれないのが可哀想とのことなので腫瘍化した左腎臓を摘出手術をすることにしました。

腎臓癌 手術

左腎はドス黒く変色していました。気をつけて周囲の血管や臓器との癒着を剥がして、腎臓動脈/腎臓静脈/尿管を処理していきます。

腎臓癌 手術後

 

摘出できました、爪楊枝1本分くらいの大きさでした。

4日間入院して点滴/化膿止めの抗生剤/痛み止めを使用して、食欲が戻ってきて嘔吐も落ち着いたので退院しました。

この腎臓腫瘍を病理検査センターに送ったところ、腎臓の血管の癌である血管肉腫と判明しました。血管肉腫は数ある悪性腫瘍の中でも悪性度が高く、転移性が高いため長期生存率は悪い事が知られています。今後は延命のため抗がん剤の使用を飼い主様と相談しましたが、今現在で食欲あればそれでOK!で、年齢的に抗癌剤はせずに経過観察していくことになりました。

腎臓腫瘍は摘出する前に、体に残されるもう一つの腎臓がちゃんと機能しているか!?をしっかりと尿検査や血液検査や尿路造影などで確認してから手術となります。残される腎臓もすでに機能不全に陥っていたら摘出手術は通常しません。しっかり見極める事が必要です。

また今回は食欲不振と嘔吐が症状でしたが、腎臓癌は血尿が出る事があります。膀胱癌や膀胱炎は頻尿という症状も出ますが、腎臓癌は頻尿を伴わない血尿になります。血尿という症状があれば分かりやすいですが、血尿が無く、片側の腎機能が正常であれば腎臓癌は末期になるまでほぼ無症状です。食欲不振や嘔吐も高齢猫ならばよくある話なので、高齢動物はしっかり検査していかないと重要な病気を見過ごしてしまいますね。

猫 腎臓癌摘出手術 入院〜手術費用総額 12〜15万円 腫瘍の大きさや難易度による

 

投稿者: アプリコット動物病院

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