症例集

2018.07.02更新

今回は避妊手術をしていないワンちゃん猫ちゃんに非常に多い子宮蓄膿症という病気です。子宮内部に細菌感染が起き、膿が溜まってしまう病気です。

本来、外部に通じている膣部はPHが低く酸性に傾いているため、外部の細菌は子宮内に侵入しにくいのですが、発情周期を何年も繰り返していると子宮内膜の構造に変化が生じ、細菌感染しやすい環境になってしまいます。

一般的に何度も性周期を繰り返している高齢犬/高齢猫に多いのですが、若くして起きることもあります。本院の最低年齢はなんと2歳でした。

多くは発情出血が終了してから3週間くらいから発生することが多いです。

主症状は、外陰部からおりものが出ている、血膿が出てる、というのが分かりやすいのですが。膿を本人が舐めてしまったり、閉鎖型子宮蓄膿症と言って膿が出にくい子宮蓄膿症もあります。その他症状は お腹が痛そう、元気食欲がない、下痢をしてる、よく水を飲むなどなどです。

 

治療法は第一選択は外科手術で卵巣子宮を摘出することです。適切に手術をして術後管理をしっかりすればほぼ助かります。

診断治療が遅れて子宮破裂や細菌性腹膜炎を起こしていると状況は厳しくなります。

また高齢犬猫に多いのも難点です、先日は14歳で心臓病で肺水腫を繰り返しているワンちゃんの手術をしました、なんとか元気になりました。

子宮蓄膿症 手術内部に蓄膿した子宮は私の指よりも太くなります。手術後はしっかり腹腔洗浄します。

子宮蓄膿症 術後摘出した子宮からは膿がドロドロ出てきます。この膿は抗生剤感受性試験を実施して、どの抗生剤が効くか調べます。

子宮蓄膿症は手術で卵巣子宮を摘出しても、術後の腹膜炎の管理や細菌から放出された毒素の排泄を促すため数日間は静脈点滴を流し抗生剤をしっかり使用していきます。

抗生剤感受性試験の結果が出て、食欲が安定してきたら点滴を終了し退院となります。通常は4〜5日間入院です。

今の所。開業以来、本院は子宮蓄膿症で死亡した例はありません、多くの飼い主様が比較的早期にご来院頂いてるというのも要因の一つでしょうけど、腹膜炎を併発していた15歳の重症例でもなんとか完治しています。しっかり診断してしっかり手術で摘出して、よーく腹腔内を洗浄し、膿を抗生剤感受性試験に出して抗生剤を選抜して、術後はしっかり点滴流して、、、と適切に治療すれば助かります。

多くは発情出血後3週間ほどで発症します、元気食欲/おりものに注意しましょう。

また子供を産ませる予定がないワンちゃん猫ちゃんは積極的に卵巣子宮の摘出(避妊手術)を実施しましょう。

 

子宮蓄膿症 犬 猫 入院から手術 退院まで総額 12万〜15万程(重症度による)

投稿者: アプリコット動物病院

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